「今日は楽しかったね~、じゃ、ばいば~い」
「ばいばーいっ」

しばらく歩いた分かれ道、レミとアイコは左の道へ歩いて行った。
あたしは二人の背に向かって、手を振る。

「…行っちゃった」
「………」
しーんとする、少し薄暗い道の真ん中。
あたしの一歩半ぐらい後ろに、隼人が立っている。

「…ちょっと、なんか喋りなさいよ」
「は?? なんで俺がお前に命令されなきゃいけねーんだ」
「だって静かでキモいんだもん」
「どーせすぐ家だろ」
めんどくさそうに数百メートル先を指差す隼人。
小さく、明かりが見える。

「んーじゃ、家まで競争!!」
あたしは言い終わらないうちに家に向かって走り出す。
「あ!? おいちょっ…待てよ!!」
隼人も追いかけてくる。
それを尻目に、あたしは家に向かって一目散に走る。