「うっ…大丈夫!! あたしは、こんな事でくじけるような奴じゃねぇ!!」
あたしは壮大な空に(実際は教室の天井)に向かって、大きく拳を振り上げる。
「そうだそうだ! それが舞香だよっ!」
「あんな奴なんて放っときなさいっ」
アイコとレミもすかさず乗ってくる。

そうだ、そうだよ。
すぐ忘れちゃえばいいんだ。
今すぐはまだ無理でも…今はまだ無理してても…。
いつかきっとこれ以上に止められない恋もすると思うから。

あたしはそう自分に言い聞かせ、作り笑いを浮かべる。
「アイコ、レミー!! 放課後ケーキ食べに行こーっ!」
「いいよーっ」
あたしはアイコとレミを誘って、教室から出て行く。


「………無理して笑ってんじゃねーよ…」
その姿を見てポツリと呟く男・広瀬隼人が一人。
「隼人ー、なにボーッとしてんだー?」
「あ、やっ! してねぇしてねぇ!」
友達に声をかけられ我に帰り、その声のもとへと歩いて行く。