体育祭当日。

「がんばれーっ!」
「Bチームファイトーッ!!」
あちらこちらから生徒の熱い声援が聞こえて来る。

「もうすぐ出番だね! 頑張ろうね、舞香ちゃん!」
「えっ…あ、はいっ!」
陸人さんの言葉で、ボーッとしていたあたしは我にかえる。
「あは、またボーッとしてる! もうすぐ本番なんだからシャキッとしなきゃ!」
「あ…すいません! …って、あぁっ!!」
「どうしたの!?」
突然あたしが叫んだので、陸人さんはちょっとびっくりしている。
「足結ぶ用のハチマキ、生徒席に忘れて来ちゃいましたっ!」
「マジでっ!? やばいじゃん!」
「すいませんっあたし、ちょっと取りに行って来ますっ!」
あたしはそう言い残してその場から立ち去った。