私は撫子を抱きながら今回の事を簡単に撫子に説明した。

「つまり、あのくそジジイは憤怒をわざと召喚して、これから封印しようとして居るって事?」
「そうだ。多分だが私以外の兄弟達は私より先に召喚して居るのだろう。だから不具合が出る様に宝の量を少なくして私を喚び出したのだろうな」
「そんな!なんて汚い事を神様に!」
「ここに居ると私と一緒に撫子も封印されてしまうからここから出るぞ?」
「でもどうやって?」
「それは、、、時間が無い。撫子、私にしっかり捕まっていろ。それとこれから撫子、お前と本契約をする」
「本契約?」
「ああ、直ぐ済む。お前の左目を私と繋げる」
「?、、、よく分からないけど、ここから出るには必要な事何だよね?なら、お願い」
「悪いな、説明は後でする」

撫子が私にしっかり捕まったのを確認した後、撫子と本契約を結んだ。


ロン視点

俺が契約している怠惰が怒っているのを感じる。
かなり珍しい事だ。
(怠惰の象徴であるはずのこいつがこんなに苛立って居るってのはあり得ないくらい珍しい事なんだろうが、、、何でこんなに苛立ってるんだ?)

「それで?何故ここに憤怒が居ないんだ?早く説明しろ、人間」
「は、はい。失礼ながら憤怒様は皆に畏れられていますのでお還りにいただきまして」
「無理矢理こちらに喚んだ憤怒を還したというのか?」
「はい。憤怒様は皆に畏れられていますので、これからの旅に支障が出るかと思い」
「お前の言う皆とは?人間達の事か?」
「いえ、我々人間だけではなく貴殿方も畏れていなくとも不快な思いをすると思、」
“ガンッ”

突然した大きな音に驚いて音の方を見ると、暴食が壁にクレーターを作ってこっちを睨み付けていた。
(こっわ!顔がキレイだから余計にこえー!大臣が言った事の何処かにムカついたんだろが何処にだ?)

「不快?誰が?オレ達がか?」
「え、ええ、調べましたら七つの大罪の方々は憤怒様のお話をされると不機嫌になると古い書物に書いてありましたので」
「はぁ?、、、オレは憤怒の事で不快になった事も不機嫌になった事もないぞ?」
「ああ~、、、それアタシかも。というか、暴食以外はそうなってたから勘違いしても仕方ないわ」
「あ?お前ら憤怒の話をして何で不機嫌になったんだよ」
「勇者と言っても私からしたら特に思い入れもないただの人間に何故憤怒の話をしないといけない?」
「私も怠惰と同じだ。少しは気に入ってはいたが、憤怒を畏れる様な者に何故不機嫌な顔をしないと思う?」
「だよな。傲慢と同じく憤怒を畏れるのを隠さずによく私に憤怒の事を話してきたと思ったぜ?」
「アタシも強欲と同じ理由。それに憤怒を怒りっぽい乱暴者で怖い奴だって決めつけて話してくるんだから、不機嫌にならない訳が無いわよね?」
「私も嫉妬の言った事には同意するけど、そのせいで私達が憤怒の事を嫌いだって勘違いさせたみたいだから、それは仕方ないんじゃない?」

そんな風に七つの大罪の者達が話していたのを聞いた俺は思わず俺が本契約している怠惰に言ってしまった。

「え!お前ら憤怒が嫌いなんじゃねぇのか?」
「当たり前だ」
「俺達は書物でしかお前達の事知らねぇから嫌いなんだと思ってた」
「まぁ、私達の反応のせいもあるみたいだから仕方ないのだろうが、私達七つの大罪が憤怒の事を嫌いになる事はあり得ない事だ」
「え?そこまで断言出来るくらいなのか?」
「ああ」

そのやり取りを見ていた大臣は顔色を青くして震えていた。
(ああ、まぁ、仕方ないよな?俺らや他の七つの大罪の者達が嫌がると思って向こうに還しちまったんだもんな?)

「七つの大罪は?、、、あの、魔王様」
「魔王で良い、それと敬語もやめろ。それでなんだ、勇者」
「えっと、魔王は憤怒様の事はあまり好きでは無いのか?」
「それは、、、」

七つの大罪は憤怒を嫌わないと言った怠惰の言葉に疑問を持ったのだろう勇者が魔王にそう聞いた。
(勇者マジで勇者だな!良く聞いた!)

「ふ、ふふっ、、、ハハハ!勇者マジで勇者だな!良く聞けたな!」
「え?え?暴食様?」
「クククッ、オレ達にも様と敬語はやめろ。笑って悪いな?だが、あまりにも愉快な質問だったからな。なぁ~、、、魔王?」
「っ、、、」
「今回の勇者は憤怒に畏れを抱いて無いみたいだな。初めてじゃないか?こいつになら不快な思いをしないで憤怒の事を話してやれるな。なぁ、魔王?」
「え?強欲さ、、強欲?どういう事?魔王?」
「、、、、」
「あ~、言えないか。なら、この強欲が代わりに言ってやるよ。魔王は憤怒に、」
「ど、どういう事だ!」
「あ?」

強欲が魔王の代わりに何か言おうとした瞬間、突然大臣が大声で叫び話し出した。