「これからも、最上飲料をよろしくお願いいたします。最後に、私から発表させていただきます」

 更に静まり返る。聖の口から紡がれる言葉を待っている。

(わたくし)最上聖七は、本日付で専務取締役から、取締役副社長へ就任いたします」

「「「……」」」最上飲料では、みんな言葉の意味を理解できないのか固まっている。

 会場内のマスコミは、最上飲料の専務はダサ専と言われている情報は掴んでいた。

「あ、あの〜」

 遠慮がちに会場から疑問の声が上がる。

「はい。どうぞ」聖七自身が質問を促す。

「最上飲料の御曹司で専務はダサ専と言われていると聞いたのですが……」

「そうですね。間違いなく私のことです。普段社内では皆さんそう呼んでるのを聞きます」