凪は、本気の聖七に圧倒される。その横で大河は、これが聖の姿の時だったら格好良かったのにと思ってしまう。

 俺様な発言だが様になっている聖七を見て、夕はどうしていいのかわからなくなる。

「姉ちゃん、母さんが入院して先が見えないし、少しでも病院が近いのは助かるから、取りあえずお世話にならないか?聖七さん、本当に迷惑にならないですか?」

「ああ。同じマンションに大河も住んでるし、安心だと思うぞ」

「困ったことがあれば、頼ってくれたらいい」

 初めて会った凪にも優しい聖七と大河に、病気の母親と弟と必死に頑張ってきた夕の目からは、自然と涙が溢れてきた。

 姉弟は、少しの間お世話になろうと決めた。

 誰かに頼るのも必要なのかもしれない……。