母は、ぐっすり眠っている。

「香月さん、この病棟の看護師の福田と申します。お母様はいつ起きられるかわからないですし、明日入院に必要なものを持って出直してもらったらいいですよ。最低限必要なものは病院にも揃ってますしね」

 優しい声で説明してくれる看護師の福田さんは、美人なお姉様という言葉がぴったりだ。

「夕、そうさせてもらおう。初日から無理して夕が倒れたら困るだろう?」

「でも……」

「彼氏さんの言うとおりですよ。お母様が目を覚まされたら伝えておきます」

「いや、彼氏で」「夕」

 またもや、聖七に言葉を遮られる。そこへ、凪と大河も病室に来た。

「凪、入院手続きは出来たの?」

「ほとんど大河さんがしてくれた」

「た、大河さん!?」

「しっ!姉ちゃん声でかい」