「専務、母が入院することになったので、手続きなどありますし」ここで続きの言葉を遮られた。

「ああ。大河手続きを頼む」

「はい」「「えっ!?」」

「弟くん行こう」

 大河が状況を理解できていない姉弟の弟を連れて行ってしまった。

「さあ、俺達は病室に行こう」

「えっ??専務も?」

「ああ」

 専務のなすがままに進んていくが、母の入院が告げられ動揺していた夕は、心強いのが本音だ。

 看護師の押す眠る母親を乗せたベッドと一緒に病室まで行く。片時も離れず付き添ってくれる専務には感謝の気持でいっぱいだ。

 病室で眠る母の顔色は青白い。きっと体調が悪いのを隠していたに違いない。夕は、気づけなかった自分に落ち込む。