狭い給湯室で、夕が切り出す。

「何がどうなってるの?」

「それはこっちのセリフだよ〜。出社したら、社内中の噂になってたよ」

「だから何が?」

「夕ちゃんが、専務と付き合ってるって」

「ええっ!!どういうこと?」

「聞きたいのはこっちだよ。忠実にいうと、『いくらお金持ちでもダサ専と付き合える香月さんは勇者』だったかな」

「専務となんて恐れ多くて付き合えないよ」

「昨日、専務となにかあったの?」

「あっ、もしかして」

「何?」

「専務が撮影の後、車に乗せてくれてオフィスの前で降ろしてもらったの」

「間違いなくそれだね」

「まさか見られていたなんて。専務にご迷惑掛けたんじゃ……」

「どうだろう」

「専務の噂の相手が私なんて申し訳ない」