夕は、突然の告白になすすべもない。現実とも思えない。

 戸惑いから抜け出せない夕を乗せた車は、最上飲料本社前に止まった。

「専務、乗せていただきありがうございました。お疲れ様でした」

 聖七が何か言葉を発する前に、夕は自分で車から降りてあっという間に駅の方に駆け出していった。乗るときに高級車だと緊張したこともすっかり忘れている。

 定時を過ぎてはいるが、最上飲料の前だ。この状況は、目撃されていた。きっと、勝手な噂がひとり歩きするのだろう。

 聖七は、自分が何と言われようが気にならないが、夕を守らなければと思う。

 スマホを取り出した。