スケッチブックには、美しい装飾が施されたドレスを着た女性と煌びやかなタキシードを着た男性が手を取り合い、微笑み合う絵が描かれている。まるで、絵本に登場しそうなイラストである。

「描けた……!」

「おっ、見せてよ」

冬都が描き終えると、凛都が目を開けてスケッチブックを覗き込む。そして、そこに描かれた絵を見て「繊細で綺麗な絵!すごいじゃん!」と言い、冬都に抱き付く。

「り、凛兄!抱き付かないでよ!」

顔を真っ赤にしながら冬都は言うも、凛都はニコニコしながら「ええ〜?酷いな〜」と言うだけで冬都を離そうとしない。

抱き締められているため、腕が使えない。これでは絵が描けないため、冬都は少し困ってしまった。そんな冬都に凛都は言う。

「この絵、よかったら輝一(きいち)たちに見せてやったら?」

輝一、その名前を聞いた瞬間に冬都の胸が喜びで溢れる。自分と同じ魔法使いで、異世界であるフォルトゥナを共に救った大切な友達だ。