その頃、黒髪に水色の目の男性と黒髪に赤い目の男性が河川敷を歩いていた。水色の目の男性の手にはスケッチブックがある。

「ここで描こうかな……」

水色の男性ーーー冬都(ふゆと)が言いながら河川敷に腰を落とす。赤い目の男性ーーー凛都(りんと)も冬都の隣に座った。

「風が気持ちいいなぁ〜」

凛都の髪を風が撫でていく。ゴロンと寝転んだ凛都を見て、冬都はスケッチブックを開きながら言う。

「凛兄、寒くない?僕に無理に付き合わなくてもいいよ?」

「いいのいいの。俺がここで昼寝したくて来ただけだから」

凛都はパチンとウインクした後、瞳を閉じる。それをチラリと見た後、冬都はスケッチブックに鉛筆を走らせ始めた。

イラストレーターとして活躍している冬都は、今日は気分を変えるためにスケッチブックを手に外へと出たのだ。誰もいない河川敷は、いい気分転換になる。

「さて、描くぞ」

鉛筆を走らせ、真っ白で何もなかったスケッチブックに物語が生まれていく。