「待て!」

「逃すな、絶対に捕らえろ!」

杖を手にし、ローブに身を包んだ男性たちが一人の人間を追っている。否、大勢に追われているのはただの人ではない。箒にまたがり、どんどん高度を上げながら、必死で追いかけてくる男性たちを見下すように笑う。

「……馬鹿どもが」

そう呟くと男性は高度をさらに上げ、追っている男性たちも箒にまたがり、男性たちに続く。

「絶対に逃すわけにはいかんのだ!奴がフォルトゥナから出てしまったら……」

追っている男性の頭には、まるで戦場と化した世界の光景が映る。何としてでもそれは避けなくてはならない。

分厚い雲を抜けると、漆黒の夜空に星が煌めいている。だが、雲の上に男性の姿はない。全員が辺りを見回していると、「お前ら如きに俺を止められるはずがないだろう!!」とどこからか男性の大声が響き渡る。

刹那、男性たちの上空から光線が銃弾のように降り注ぐ。光線は男性たちの体を一瞬で貫いていった。