だって望んでいるのだから。

 でもそれは自分だけだったのだろうか。

 そんな不安が込み上げる。

「そんなわけは……」

 余計におろおろした声で、翔が言った。

 果歩は懇願するように、翔に縋りつき、顔を上げて見上げた。

 涙も浮かびそうになったくらいだ。

「今夜で私は帰るのに……! それなら、別々なんて嫌だよ……!」

 必死に言った果歩。

 やはり大胆であったが、ここでおしまいにしたくなどない。

 実のところ、このときの果歩は翔の思惑をだいぶ誤解していたのであるが、とにかく、そんなふうに思って、続けた。

「果歩……、そんなふうに言われたら……」

 翔が、ぎりっと奥歯を噛むのが見えた。

 切なそうに顔を歪める。

 ためらっているような表情と声、言葉に果歩は最後のお願いをした。

「お願い……、今夜は一緒にいて……!」

 心からの願いと、きっと伝わってくれただろう。