「そうだね。そろそろ空港に向かわないと。……翔さん、今日は本当に」

 言いかけたのだけど、言葉は不意に途切れてしまった。

 テーブルの上に置いていた果歩の手に、翔の手が重ねられてくる。

 きゅっと握られた。

 どきんっと果歩の心臓が高鳴る。

 急にドキドキしてきた。

 この時間が続くとは思わない。

 でも、これっきりではないのではないか。

 そう期待させられてしまったのだ。

「果歩さん」

 果歩の手をそっと包み込み、握って、翔は果歩をじっと見つめてきた。

 果歩は胸をばくばくさせながら、硬いその瞳を見つめ返すしかない。

 期待がつのっていく。

 まさか、本当に、また会いたいとか、そう言ってもらえるのかな。

 浮かんだのはそれだったのに、翔はまったく違うことを言った。

「……連休はいつまで?」

 こんな真剣な目をして、手を握って言ってきたにしては、なんの色気もない質問だった。

 果歩はきょとんとする。

 拍子抜けしたと言ってもいい。