「かしこまりました。どのようなものをお好みでしょう?」

 にこ、と笑った彼女は親しみやすい笑顔を浮かべていたが、果歩は好みなど聞かれて、ますます緊張してしまった。

「彼女はこういうお店が初めてなんです。だから私が選ぼうと思いまして」

 カジュアルさと丁寧さが良いバランスで話す翔に、彼女は嬉しそうに微笑む。

「まぁ、素敵ですね」

 本当に全部選ばれてしまうらしい。

 果歩はまたしても別の意味で、胸が高鳴ってくるのを覚えた。

「そうだね……、果歩さんは明るい色が似合うから、そこにあるようなパープルはどうかな?」

 翔が視線をやったのを追って、果歩は目を丸くした。

 そこにあったのは、ハワイでよく見るブーゲンビリアのように鮮やかな紫のワンピースだった。

 こんな明るくて華やかな色、果歩は着たことなどない。

 それにデザインだって大胆だ。

 この気候なのだからもちろん、日本で言うところの夏服である。

 薄手の生地だが、シルクなのか滑らかな質感に見えたし、胸元は日本の服より大胆に開いていて、ホルターネックのデザインだ。

 スカートはふわりと広がる布の量と、膝丈の上品な長さ。