フォローするように、慰めるように言ってくれたそれにも、果歩は気持ちが変わらなかった。

 だって自分のしてしまった事実に変わりはない。

「でも……」

 言いかけたけれど、翔が今度、笑いかけてきた。

「気になるならチップでお詫びしたらいいさ。ほら、笑って。せっかくの美味しい食事も楽しめなくなっちゃうよ?」

 そう言われて、果歩は、確かに、と思った。

 海外ではお店でチップを渡すのが普通であるし、それを少し多くすれば、償いになるだろう。

 それに、こんな顔ではお料理も楽しめない。

 翔の言う通りだ。

「……はい」

 実感して、果歩は無理に作ったものだったが、笑った。

 そうだ、たまにはしてしまう失敗だ。

 取り返せないようなものじゃない。

 そう自分に言い聞かせる。

「ゴメンネ、オマタセシマシター」

 サムが新しいパイナップルジュースを持ってきて、果歩はもう一度だけ謝ったけれど、それでおしまいにした。

「定番だけど、ここのはツナギのないパティを使ってて、すごく美味しいんだ」

 頼んだのはロコモコだった。

 ご飯にハンバーグや玉子が乗っているもの。

 海外の食事は大抵そうであるように、ハンバーグは日本のものの倍はあろうかというほどの大きさで、果歩を笑顔にしてきた。

 それに、あのパイナップルジュースも、甘さと酸味のバランスが絶妙で、飲み干す頃には果歩はすっかり元通りの笑みが浮かべられるようになっていた。