もう起きちゃったのかな。

 次に思った。

 もう一度、もそっと動いて、肘をついて上半身を起こす。

 それではっきり知った。

 ベッドには誰もいない。

 それどころか、部屋に誰もいない。

 でもここはベッドルームで、もうひとつメインルームがあるのだから、そちらにいるのかもしれない。

 もしくはお風呂などに入っているのかもしれないし。

 果歩はそう思って、彼を探そうと、今度こそきちんと起き上がった。

 ぎしっと体が痛む。

 昨日の一夜があるのだから、当然だろう。

 でも不快な痛みではない。

 むしろ、たっぷり愛し合った結果と感じられて、果歩を幸せにした。

 そこで自分がなにも身にまとっていないことを知って、ちょっと恥ずかしくなる。

 あたりを見回して、バスローブが椅子の背にかけてあるのを見つけた。

 近付いて、それを手早く羽織る。

 素肌が覆われて、ほっとした。

 しかし果歩がそこまで移動しても、なにもほかに気配や物音はない。

 果歩はもっとおかしい、と思った。

 もしかしたら、今日はお仕事だったのかもしれない。

 それなら早く出ないといけなかったのかな。

 聞いておけば良かった。

 悪いことをしちゃったかも……。

 そんな思考が巡りながらも、明らかに誰もいないのでベッドルームは出た。