「俺は幸せだ。果歩と恋人同士の時間を過ごせて」

 その言葉にも、声にも、愛おしさは同じくらいたっぷり滲んでいた。

「私もだよ。……ありがとう、連れてきてくれて」

 だから果歩もそう答える。

 翔の瞳を見つめ返す視線は、きっと同じように優しいものになっただろう。

 やがて翔が果歩の肩に手をかけて、そっと顔を近付けた。

 やわらかなくちびる同士が合わさる。

 冬の外気の中なので、もちろん少しひんやりしていた。

 でも触れ合ううちに、その中にあるあたたかな体温が感じられるようになってくる。

 暑いところでも、寒いところでも、触れたあたたかさは同じ。

 そしてこのあたたかい触れ合いや気持ちをくれるひとは、どこにいたって、果歩の隣にこれからもずっと一緒にいてくれるのだ。