「あ、これはどうかな? あのときのドレスと似た形だ」

 翔が目に留めたのは、あのとき翔が選んでプレゼントしてくれたパープルのワンピースと少し似た形の一着だった。

 首の後ろで留めるホルターネックタイプ。

 スカートはプリンセスラインでロングのものだったが、胸元のデザインや、スカートのギャザーなど、なんとなく雰囲気が似ていると感じる。

「素敵だね。でもあのときは本当にびっくりしたんだから」

 果歩も触れてみて、さらりとした着心地の良さそうな感触に、前向きになる。

 ただ、あのとき相当戸惑った気持ちを思い出して、少し膨れるように言ってしまった。

「はは、悪かったよ。つい俺好みを勧めてしまった」

 その果歩に、翔は頭に手をやって少し気まずそうに、でも懐かしそうに笑う。

 二人の大切な想い出の一ページ。

 辿れるようで素敵だと思って、数日検討ののち、最終的にそのドレスに決めることになるのだった。