果歩の呟いた返事に、翔はやわらかく視線を緩めた。

 そうしてからまた顔を寄せ、キスをしてくれる。

 ただし今回のキスは、夜をはじめる、もっと濃厚なキス。

 果歩はすぐ夢中になってしまった。

 腕を伸ばして、翔の背中に回して、無意識のうちに自分に引き寄せるようにしていたくらいだ。

 翔が触れる手つきはとても優しかった。

 果歩の素肌のあちこち、全身すべてに触れるかと思うほどたくさん触れて、丁寧に愛してくれる。

 触れられなかった時間を埋めるように、たくさん触れ合った。

 そして体もひとつにさせて、愛し合った。

 とても甘美で、幸せたっぷりな時間。

 時間にしたらそう長くはなかっただろうけれど、果歩にとっては永遠かと思えるほど、心も体もたっぷり満たされる時間だった。

「……果歩。俺の奥さんになってくれて、ありがとう」

 終わったあと、翔は果歩の髪をそっと撫で、言ってくれた。

 果歩は心地良い気だるさの中でそれを受け、撫でられる嬉しさで、自然に目を細める。

「私こそ……」

 少し息が上がっていたからそれだけになったけれど、ちゃんと言った。

「愛してる。これからも、ずっと。ママとしても、恋人としても」

 翔は果歩の髪をすくいとって、それに軽くくちづけて、誓うように言ってくれた。