三人で暮らすようになって、一ヵ月ほどが経った。

 その間に年も変わり、新年を迎えている。

 ただ年末と年始は翔が家にいなかった。

 それはそうだ、年末年始は世間が長期休暇。

 海外でバカンスや休暇を過ごしたいひとも多いだろう。

 だから航空会社にとっては稼ぎ時といえる。

 さらに翔はまだ若手ながら、エリートで優秀なパイロット。

 繫忙期といえる期間、穴を空けるわけにはいかない。

 そんなわけで、いくら新婚であろうとも休みを取るのが難しいんだ、と予定を話すとき翔は申し訳なさそうに言ったけれど、果歩は不満に思うわけがなかった。

 そういう仕事の翔なのだし、むしろ寒い中で忙しく働くのが心配になったくらいだ。

 だから果歩と航は、昨日まで果歩の実家で過ごしていた。

 そこで年越しや新年の行事も一緒にしたから、寂しいなんてほとんどなかった。

 それでも翔がこうして帰ってくれば実感する。

 翔からしか得られない幸せや安心、満たされる気持ちは確かにたくさんあるのだ、と。

 結婚してまだ二ヵ月ほどだが、生活は順調だった。

 航も小児科の検診を問題なく終えていたし、幸せいっぱいの日々だ。