「翔さん。そんなふうに言わないで。私……」

 果歩の声は穏やかになった。

 すぅ、と小さく息をついて、自分からも真っ直ぐに翔を見つめて言った。

「私……、今、初めて知ったの。私こそ、あのときちゃんと言っておくべきだったんだって。……翔さんに惹かれていたって。好きになっていたんだって、ちゃんと言うべきだったの」

「……果歩」

 果歩が真っ直ぐに言ったこと。

 翔は目を丸くして呟いた。

 その瞳に、果歩はちょっと努力したものであったけれど、笑いかけた。

 素敵な話なのだから、笑って話したい。

「その気持ちは変わってない。だから……私で良ければ、付き合って……ください」

 どきどきする心臓を抱えながらも、ためらわずに言った。