翔のこと。

 両親が受け入れてくれるとは限らないと思っていた。

 でも果歩の想いや思考、方針を理解して、受け入れると言ってくれる言葉だ。

 そう言ってもらえるのが、なにより嬉しい。

「うん、もちろんだよ」

 果歩は心からの笑顔で言った。

 それから母と共にキッチンに立ち、夕食の支度をはじめた。

 ご飯が出来上がる頃には父も仕事から帰ってきたし、夕方からぐっすりお昼寝した航も、すっきりしたようだ。

 ぐずることなく、幼児食になったご飯をぱくぱく食べたあとは、『ばーば』と『じーじ』に向かって、おしゃべりしていた。

「ひこーき! ぶーん! した!」

 かたわらでその様子を見ながら、果歩はにこにこしてしまった。

 航はお土産の飛行機を片手で持って、ぶんっと振る。

 まるで今日、展望台で見た様子を再現したいという仕草だ。

「おお、そうか。カッコ良かったか?」

 父はそのかわいらしさに、すっかりデレデレしてしまって、優しい笑顔で航に質問した。

「ん!」

 航もきらきらした顔で頷く。

 とても幸せな時間だ、と果歩は思った。

 翔に再会したことで、この時間は少し変わっていくのかもしれない。

 いい方向に進むと思ってはいるけれど、変化はきっとあるだろう。

 それに順応できるかという不安は、なくはない。

 でも、きっと大丈夫。

 航と、自分の両親。つまり祖父母。

 この幸せな関係や時間も、そのまま続いていくのだから。

 本当に、いきなり翔と再会して、はじめはあれほど動揺したのに、こんなふうに思えているのが自分で信じられなかった。

 でもそれは良いことなのだ。

 そして母が言ってくれたように、自分が母として、少し強くなれたからなのだろう。