それを感じて、果歩は大きな安心と幸せを覚えた。

 自分も航に触れて、確かめたかったのかな、と思い当たる。

 翔に再会したことも、翔がこの家にやってきたことも、話したことも、すべて現実のことなのだ。

 それは否定しない。

 でも自分の気持ちを譲歩したりもしない。

 航を授かって幸せだと思う気持ちも、今にまったく後悔も恨みもないという気持ちも。

 本当のことで、本当の気持ちだから。

 翔とこれからどんな話をして、どんな提案をされるのかはわからない。

 自分が受け入れられることなのかもわからない。

 でもきっと、間違えないだろうな、とあたたかな航の体は確信させてくれた。

 それになんとなく感じていた。

 悪い方向には進まないのではないか、と。

 だって翔はそういうひとだ。

 冷たい解決方法で終わらせるなんてことは、しないひと。

 そういうひとだから惹かれたのだ。

 たとえ、丸一日にも満たないような時間だったとしても、果歩はもう、よく知っていたのだから。

 だから大丈夫。

 きっといいほうに行くよ。

 抱っこしている航は、もうぐっすり眠った様子だったけれど、果歩はもう少しだけ、と思って、自分の腕と体で、その存在とぬくもりを感じていた。