婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


 私はミリアムを利用した真犯人を捉えるべく、やり切れない思いをぶつけるように闇魔法を展開した。

 自分の足元にある影から闇魔法を流し込み、世界中の影につなげてさまざまな情報を読み込んでいく。これができるのは、今まで解呪して取り込んできた魔力があるからだ。普通の魔女なら街ひとつ分がやっとだろう。

 でも幾万のアイテムを解呪してきた私にとっては、朝飯前と言える。

「絶対に逃さない。仲間を利用した奴らは、絶対に許さない!」

 湧き上がる怒りのまま闇魔法を操っていく。この世に影のない場所なんてない。つまり私なら世界中を捜索できる。
 魔力のクセを読み取って、フィオナと一致するものを探していった。

《うぅ、ひっく……ママ……助けて……ママ……》

 そこで幼い少女の声を拾った。その声ににじむ魔力にハッと瞳を開いた。

「見つけた! ミリアム、取り返してくるから、ここで待ってて!」
「ああ……! フィオナ! よかった……!」

 膝から崩れ落ちるミリアムを残し、イリアスと影移動で目的地に移動した。