その日の解呪が終わり、執務に戻ろうとしたレイの背中に声をかける。
「あの、レイ。相談があるんだけど」
「相談? セシルからそんな話をするなんて珍しいな」
「うん、前に任せてほしいってお願いした魔女なんだけど……会いにいく必要があるの。行ってもいい?」
レイが途端に渋い顔になる。レイとは契約があるから、ためらう気持ちはわかる。だけど婚姻宣誓書にサインした時点で、お互いの居場所はわかるから逃げ切ることはできない。
それに、これでも皇后だから立場的にホイホイと外出できないのも理解していた。
「私は魔女だから影移動ができるし、魔力さえ封じられなければ身の安全は確保できるわ」
「影移動か……まあ、それで移動するなら許可しよう。魔女の件は俺たちが関与できないからな」
「ありがとう! じゃあ、早速——」
サクッと移動しようとすると、レイが待ったをかける。
「ただし、イリアスを同行させる。本当は俺が行きたいところだが、まだ事件が片付いてないから離れられない」
なんだか監視されるみたいで嫌な感じがする。私の居場所なんてすぐにわかるのに、悪さなんてするつもりもないのに。



