婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


 私が娶った女は隣国の公爵家の三女だったが、闇属性の家系でマックイーン家にとってはなんの価値もなかった。
 幸い遊びで囲っていた女の家系に聖属性の者がいたようで、シャロンがその血を受けついだ。だから妻が亡くなってすぐに酒場の女を後妻に迎え、シャロンを認知したのだ。

 すべてがうまくいくと思ったが、シャロンの魔力はさほど強いものではなく、聖女の認定を受けられなかった。そこで教会から寄付をすれば不足分を考慮すると打診されたので、迷うことなく多額の寄付を収めたのだ。

 それが新しい皇帝になって、聖女の検査をやり直すと言い出した。今さら教会で不正があったとしてなんだというのだ。

 焦った私は、旧派の代表でもあるフューゲルス公爵に相談に乗ってもらった。あの方も確かご令嬢のために寄付をしていたはずだ。私は寄付をした貴族たちに連絡をとり、なんとか手を打てないかと奔走した。

 そんな私を助けるように手を貸してくれる息子に、嫡男としての自覚が出てきたと嬉しく思っていた。
 新しい皇帝になってから皇城に出仕するようになり、やっと貴族としての役割を理解したのだ。

 これからのマックイーン家の、いや私の未来は明るいと信じて疑わなかった。