「なんだと!? あんな小娘ひとりで魔物を倒せていたのだ、ユリウスの応援がなくとも、お前たちにできないわけがないだろう!!」
「いえ、セシルお嬢様は別格でございます。なにせ攻撃に特化した闇魔法の使い手でしたから……領地が三年前まで魔物の被害なくやってこれたのは、ひとえにセシルお嬢様のお力でした。ユリウス様におきましても、まめに足を運んでくださり大型の魔物を仕留めてくださっていたのです」
魔物の度重なる出没により農地が荒らされ、作物の収穫高はセシルがいた頃の半分だ。広大な森を保有する侯爵領は常に森に生息する魔物の危険にさらされている。
そのため定期的な魔物の討伐が必要だが、今まではそれでも問題がなかったのだ。
まさかセシルとユリウスが、そこまで魔物の討伐に影響するほどの力を持っているとは思えなかった。



