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「おい、この報告書はなんだ! こんなデタラメばかり書いてないで、事実を話さないか!!」
「侯爵様、そうは言いましても、それが事実なんです。セシルお嬢様が来られなくなってから、私たちも精一杯やってきました。今年はユリウス様の応援もなく、これ以上は無理です」
私は当主としてマックイーン家の領地にやってきていた。実は国に支払う貴族税が用意できないと知らせが来ていると家令に聞き、どういうことかと馬を乗り継いできたのだ。
報告書を読んでみれば、魔物の襲撃件数が大幅に増えて領地に甚大な被害が出ていた。
今まではセシルに魔物の討伐をやらせて、ついでに領地での報告を受けさせていた。その後は嫡男であるユリウスに任せていたのだ。
だが、今回のような魔物の被害報告なんて受けたことがなかった。



