婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


 毎回毎回、レイってまつ毛長いなとか、肌のキメ細かっ!とか、いつも最初だけ耳が赤いのはなんでだろうとか、余計な情報が入ってくるので、もう過剰なふれあいはやめたかった。

「ダメだ」
「なんで!?」
「言っただろう? 一石三鳥なんだ。それに、その姿勢が一番癒される」
「……癒される? 誰が?」
「俺だ」

 私は魔女だし相手を癒すような治癒魔法は使えないけど、いったいレイのなにが癒されているんだろう? 若干話が通じてないけど、自信満々で答えたレイは昼食を食べ終えた私をソファーへと促した。

「私は治癒魔法が使えないし、解呪できれば膝枕じゃなくてもいいんだけど」
「では俺が解呪の時間を作るための餌だと思えばいい。膝枕をしないなら解呪の時間は作らない」
「はあ!? なんでそんなに膝枕にこだわるか、訳わかんないわ!」

 レイはそう言って、私の足にそっと頭をのせてくる。本当にこの膝枕の必要性が理解できないけど、これをしないと解呪させないというんだから仕方ない。だけど人を枕代わりにしないでほしいと思う。

 いつものように耳を赤くしながらも、眠りに落ちていくレイを見つめていた。眠ってしまえば耳から赤みは引いていく。穏やかな午後のひとときは、静かに過ぎていった。