婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


 周りを見渡せは幸せそうな親子や、友人同士のグループ、そしてカップルが笑顔で街を行き交っている。

 あの時は私には関係ない世界だと思っていたから、世界に色を感じなかった。でも今は色とりどりの光にあふれて、心が羽のように軽い。

 気持ちが通じ合うだけで、こんなにも世界は変わって見える。

「ねえ、そういえばレイはいつから私を好きになったの? 態度の違いが全然わからなかったのよね」

 今度は帝都で評判のカフェに入って、バルコニー席で名物のとろけるフレンチトーストを食べている。
 甘さ控えめのフレンチトーストは卵液が染み込んで、外はカリッと中はとろけるほど柔らかい。その上に乗せられたバニラアイスと一緒に食べれば至高のデザートになる。

「ああ、二年前からだ」
「に、二年!?」
「前にセシルに解呪してもらったことがある。その時に女神のようなセシルに惚れた」

 なんていうことだろう。そんな前から思っていてくれたなんて。でも二年前なら修行中でリリス師匠に言われるがまま解呪していたから、申し訳ないくらいまったく記憶にないわ。