婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


「ほどほどにしてくださらないと、皇后教育に支障が出ます。結婚式の準備もありますし、朝起きれない日が続けば進捗に影響が出ます」
「皇后教育はほとんど必要ないだろう? 元々セシルは優秀で四カ国語も話せるし、ここ三年ほどの国内や諸外国の情勢を学べば、すぐに社交にも出られると聞いている」
「ええ、セシルが優秀なのは間違いありませんが、それでも午前中が潰れるほど愛されるのはいかがと思います!」

 ユリウスの言いたいことはわかった。毎夜セシルを愛しすぎて、翌日に響いているのだ。今もまだセシルが起きる様子がないから、こうしてユリウスが俺の執務室までやってきたのだろう。

「それは、仕方ないではないか。何年片思いしてきたと思っているんだ。無理やり妻にしてやっと、俺のものだと実感できたところなんだ」
「では、セシル様と寝室を別にしてください」
「断る」

 なにを言い出すかと思えば、今さらセシルと部屋を別にするなど耐えられない。しかも貴族たちにさまざまな憶測をさせてしまう。

「そうですか。では、セシルは病気療養ということで侯爵家へ連れて帰ります」
「ユリウス、それは俺が許可しない」
「陛下に許可をいただくつもりはありません。セシルを泣かせるような男など、この僕が排除します」