婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


「え、あのままがいいの! あの家の内装をこの前見てみたんだけど、びっくりするくらい私好みだったの! レイがほとんど決めてくれたけど、最高だったわ!」
「そうか、では褒美をもらいたいな」

 セシルが喜んでくれたならよかった。前に住んでいた部屋を参考にして、ユリウスにセシルの好みを聞き出した甲斐があった。

「褒美って言われても、レイから見たら大したものあげられないわよ?」
「いや、セシルじゃないと無理なものだ」

「あ、魔女の秘薬(ウィッチ・エリクサー)? どんなのがいいの?」
「違う」

 キョトンと首を傾げる様子がたまらなくて、思わず貪りたくなるがグッと堪える。

 ここがベッドの上ならとっくに押し倒していた。いや、待て。褒美は膝枕をしてもらうつもりだったが、別のものにしよう。

「セシルから口づけしてほしい」