婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


「くくっ、さすが俺のセシルだ。君にだけは敵わない」
「それなら私の夫として相応しくあるように、せいぜい皇帝として励むのね」

 魔女らしく、ちょっとだけプライドが高そうなふりをして夫の尻を叩く。
 皇后としてこれから苦労することもあるだろうけど、そんなのはレイの隣にいれば気にならない。

「さあ、あなたたちもせいぜい自分の仕事に励むのね。手を抜いたら、私が呪うわよ?」

 リリス師匠ならきっとこう言うだろう。

 魔女の仮面をかぶって虚勢を張って、そのために必死に努力して。そんな私でもレイは受け止めてくれる。
 だから私らしく、これからもレイを愛していくのだ。