婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


 そんなにも私を想ってくれているのも、嬉しくてたまらない。でも、きっとレイはこうも思っているはずだ。

「レイが民のためになにが最善か、いつも考えていたのを知ってるわ。そんなレイが皇帝だからこの帝国は、前よりも確実によくなっていると感じたのよ」

 泣きそうな顔のレイは、ジッと私の言葉に耳を傾けている。

 私は、大切な人のために背中を押してあげたい。私がどれだけレイが好きで、レイのためならどんなことでもできるのだと知ってもらいたい。

「ねえ、レイ。私は魔女よ。そんな私にふさわしいのは、皇帝くらいしかいないと思うのだけど違うかしら?」
「セシル……嫌じゃないのか? 皇后なんてやりたくないんだろう?」
「確かに皇后に興味はないけど、できないとは言ってないわ」

 なによりも愛しい人のためなら、それくらいこなして見せようじゃないの。