婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


 今のは聞き間違いではないのだろうか?

 あまりにも私がレイを好きだから、望みすぎて幻聴が聞こえてきたのではないだろうか?

「セシルに誤解をさせるような言動で申し訳なかった。でも地位や名誉に興味のないセシルに俺の想いを告げても、負担になると思うと言えなくて……それでも気持ちは態度で示したつもりだったんだ」
「……本当に?」

 喉がカラカラで声が掠れる。

「うん?」
「本当に、レイは私を好きなの?」
「ああ、好きでは足りない」

 レイはゆっくりと立ち上がり、私の肩にそっと額をのせる。

「愛してるでも足りないくらい、セシルを想っている」

 夢じゃない。
 レイが私を想ってくれているのは本当なんだ。

「だから、どうか俺のそばにいてほしい」