婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


 お義姉様は気味の悪い真っ赤な眼を見開いて、鉄格子を固く握りしめていた。

 その様子に腹の底から笑いが込み上げる。いいざまだ。そうやってわたくしに縋りつけばいいのよ。まあ、取り合うことなんてないけれど。

「ふふっ、お義姉様に選ばせてあげるわ。あの子供か、皇帝か。お義姉様の選択でどちらかが命を落とすのよ。ふふふ……あはははははは!」
「シャロン、それでは計画が進まないだろう」
「そんなことないわ。呪いの香炉を作らなくても、魔女が呪いのアイテムを作ろうとしたとでも言って公開処刑すれば、皇帝にダメージを与えられるもの」
「ふむ……そうか、なるほど。それなら魔女を皇后にしていたと糾弾できるな」
「あ、お義姉様に伝え忘れてたわ。どちらにしてもお義姉様は魔女として処刑するから、せいぜい後悔しないように選ぶのね」

 呆然としているお義姉様の顔に満足して、空気の悪い地下牢から引き上げてきた。
 今夜は久しぶりに美味しいワインが飲めそうだ。

 これからのわたくしたちの未来を祝福してエル様と祝杯をあげた。