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「これが制約内容変更の書類です。ほとんど変わりませんが、皇后に関する項目を現状に合わせて修正しております。ご確認いただきましたらサインをお願いいたします」
イリアスが出立の日の朝に、あの分厚い羊皮紙を持って私室にやってきた。
またこの紙一枚で私の人生が変わるのかと思ったけど、胸の中で渦巻く黒い感情に支配されたくなくてさっさとサインした。
前の時のように淡い光が私の胸の中に吸い込まれていく。いまだにレイと繋がっているのは、きっと私の居場所を把握しておきたいのだろう。そこまで信用されていないのかとキリキリと胸が痛んだ。
「手続きはこれで終わりね?」
「ありがとうございます。これで制約は更新されました。セシル様、こちらは以前ご利用いただいた認識阻害の魔道具です。フィオナ様の分も用意しておりますので、帝都でお出かけの際にはご利用ください」
イリアスが差し出したのは、レイとのデートで身につけたブレスレット型の魔道具だった。



