こんなしがらみだらけの生活は、きっとセシルには窮屈すぎる。こんな状態で想いを伝えてもセシルを縛りつける重い鎖にしかならないだろう。これ以上追い詰めるようなことはしたくない。
だからセシルが皇后でなくなった時には、自分の言葉でちゃんと伝えよう。それでも受け入れてもらえなかったら、その時は潔く身を引くんだ。
その後はそっと見守っていこう。完全に気配を消せば、セシルはきっと気付かないから問題ないだろう。
どこまでも臆病な自分に呆れながらも、まどろみに身を任せた。
それでも俺は今までにないくらい浮かれていた。
愛しいセシルが妻になって、彼女の希望を叶えるために持てる力をすべて使う。母上の時にはできなかったことをできるのが嬉しかった。
だけど俺に周りでは旧派の貴族が怪しい動きをしていて、きな臭い情報が入ってきていた。
教会の不正を取り締まった後、党首が交代して新たな情報が続々と入ってきていた。筆頭はセシルの兄のマックイーン侯爵だ。彼が中心になって、セシルの暗殺に関わる貴族や今回のクーデターの件も情報提供してくれていた。
近いうちに新派の代表貴族になるだろう。



