「本日はこちらに名前の書かれているご令嬢にお越しいただきましたが、あなたたちは昨日づけで聖女から外されています」
「そんな! 嘘よ! ありえないわ!!」
「そうよ、なにかの間違いでしょう!」
会議室に甲高い耳障りな声が響き渡る。真っ赤な顔で文句を言っているのは、マックイーン侯爵家の次女シャロンとエルベルト公爵家の長女だ。もちろんふたりともリストにしっかりと名前が載っている。
「これは執政長官が自ら指揮をとった正式なものだ」
「だって、わたくしが聖女じゃないなんて、おかしいわ! 確かに聖女の力があると言われたのよ!?」
「ああ、マックイーン嬢はAランクでしたか。ではなにもおかしくありません。あなたの聖女の力は大きく過大報告されていました」
「だから、どうしてAランクではダメなのよ!?」
やれやれとジョルジュが深いため息をつく。
「聖女の認定を受けられるのは、ファースト・ランク以上の方です」
「え? なによ、ファースト・ランクって」
「聖女様の魔力の強さや性質によって、下はEランクから、最上でテンス・ランクまであります。我らが聖女様と認めるのは、Aランクのひとつ上のファースト・ランクからです。ただ聖女の力はお持ちなので見習いといったところです」
呼び出された令嬢たちは青い顔で、俯いていた。
ただひとりシャロンが唇を噛みしめてぶるぶると震えていた。



