ふたりが落ち着くのを待って、侍女にお茶やお菓子を用意してもらった。テーブルには色とりどりの菓子が並べられ、フィオナが美味しそうに頬張っている。その姿に笑みを浮かべて、ミリアムにひとつ提案をした。
「ねえ、これからどうするか決めてる?」
「えっ、これからのことはまだなにも……親は私だけだし、フィオナのこともあるから早く決めたいのだけど……」
ミリアムはもう魔女ではない。だから今までのように魔女の力を使ってお金を稼ぐことはできないのだ。彼女はひとりで娘を育てていたから、これからの収入をどう得ようか考えあぐねているのだろう。
蓄えがあればある程度は凌げるだろうけど、フィオナが成人するのはまだまだ先の話だ。
「ミリアムがよければなんだけど、お給金を払うから私の薬草園を頼めないかしら?」
「え?」
「実はここの庭園の一角に薬草園があってね、そこで薬草を育てているの。ミリアムなら薬草の知識もあるし調合もできるし、フィオナと一緒に暮らす部屋も用意するからお願いできない?」



