「早く答えないと、次は大事なものを切り落とすわよ」
そう言うと、男たちはそろって腰を引いて股間を押さえた。なにを勘違いしているのか知らないけど、私が言いたかったのは毛髪だ。
みんな気にしていると思ったけど違ったのだろうか? まあ、想像以上に青白い顔をしているのでよしとしよう。
「まだ答える気はないの? それなら——」
「ま、待ってくれ! 言うから!! その代わり保護してくれ!!」
「証言が真実だという証拠はあるのか?」
イリアスのいつもより数段冷めた声が男たちに突き刺さる。
「取引したところを映像で残してる。貴族相手だとオレたちみたいなのは、すぐ裏切られるからな」
「ふむ、よろしい。では拝見しよう」
映像が残された水晶の魔道具を見ると、そこに映っていたのはゼイル伯爵家の次男であるコリアンだった。
イリアスは大人しくなった男たちに端的に尋問して、ここは国境沿いの山小屋だと判明した。影移動で一度男たちも連れて皇城に戻り処分は任せて、フィオナに怪我などがないか診察してもらった。その間に、ミリアムを私の私室へ連れてきた。



