婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!


 代償を支払ったミリアムを思い浮かべると心が痛むけれど、まずはフィオナを早く会わせたかった。でも、その前にひとつだけやるべきことがある。

「ねえ、その前にちょっとだけ、ここの人たちを懲らしめてもいいかな? フィオナのママを苦しめたから、実は私ものすごく怒ってるの」
「わたしもママにひどいことした人は、ぜったいに許せない!」
「わかりました、後処理はすべて私に任せてください。帝国の人間の犯罪ならこちらの管轄ですから」

 イリアスは苦笑いしていたけど、お言葉に甘えることにした。


 そんな話をしていると、檻を破壊した音を聞いた犯人たちが、バタバタと足音を立ててやってきた。

「おい! なんだ、さっきの音は!?」
「な、なんだよ、お前らは!?」
「はっ!? なんで魔女がここにいるんだ!?」

 駆けつけた男たちは、驚いた様子で現状を把握するだけで精一杯のようだった。

「ねえ、あなたたちにこの子を捕らえるように命令したのは誰?」

 私はゆらりと立ち上がる魔力を抑えずに、男たちに問いかけた。