目を合わせて微笑み合う。
「あっ、いつの間にか動悸治まった」
「本当だ。やっぱりオレって東良の特効薬!」
機嫌よく抱きしめてくる藤堂くんを愛おしく思いながらも、沢辺さんに抱き寄せられたときから症状が良くなっていたことは黙っておこうと、口を固く閉じる。
「藤堂くん、これからも保健室に運んでもらうことになるかもしれないけど、そのときは……よろしくお願いします」
「愛するお姫様のためなら喜んで」
私が具合が悪くなかったとしたら、もっと違う人生になっていたかもしれない。
藤堂くんに気にかけてもらうこともなく、平和な日常を過ごして、こうして保健室に運んでもらうこともなかったかもしれない。
病気で失った私の過去は変わることはないけれど、未来は変えられる。
周りの人の優しさに感謝しながら、1歩ずつ未来を変えていける、そんな人に私はなりたい。
END



