藤堂くん、もっとぎゅっと抱きしめて



先生が出て行き、藤堂くんと二人っきりになってしまった。


今この場に二人でいれる制限時間は5分だというのに、私も藤堂くんでさえも、何も言葉が出てこない。


とりあえず謝ろうと「ごめん」を言いかけたそのとき、


「はーーーーーっ!」


生きてきたなかで、聞いたことない大きなため息をつかれた。


「藤堂くん、ごめ……」

「ごめん、オレ、色々テンパってる。具合悪いのに本当ごめん。と、とりあえずオレの胸にくる?」


どうしても私を自分の胸に抱き寄せたいらしい藤堂くんは、グイッと私の腕を引っ張った。その拍子に藤堂くんの胸にすっぽりとおさまる。


藤堂くんの胸の鼓動が激しく高鳴っているのが分かる。


「……東良、もうオレ以外の胸は借りないで。女子でもダメ」

「う、うん。でも沢辺さん本当にいい人で、話したら分かってくれたよ」

「でもダメ、それと沢辺に勝手に病気のこと話してごめん。やっぱりオレ以外の……できれば女子が東良の味方になってくれたらいいなって思ったんだ」

「うん、私もゴメン。あと、何をそんなに心配しているのか分からないけど、私は藤堂くんから離れたりしないし、嫌いになったりしないから」


――嫌われることはあっても、私から嫌いになることは絶対にないから。