藤堂くん、もっとぎゅっと抱きしめて




保健室に着き、先生から水を貰って一口飲む。


「6時までって伝えていたけど、落ち着いてから出ていいからね」


ポンポンと背中を擦ってくれる先生と、意味深に両手を広げる藤堂くん。


さすがの先生も藤堂くんの行動が理解不能だったようで、「藤堂くん、なにしてるの?」と変なものを見るかのような目を向けていた。


「…………あ、いや、オレの胸が一番落ち着くかなって」


藤堂くん、それ言っちゃうんだ。


「…………な、なんて、アハハ……」


さすがに恥ずかしくなったらしく、顔を真っ赤にして誤魔化していた。


こんなに白い目を向けている先生の前で「藤堂くんの胸が一番落ち着く」とは言えなかった。


「……あなた、そうやってどさくさに紛れて体調が悪い女子に抱き着くために保険委員になったの?」


「ハア!? ちっ、違います! ……って、先生仕事中だったんでしょ! テストの採点があるんでしょ! 東良の面倒はオレが責任持って見るんで、職員室に戻って仕事してください!」


ドン引きしている先生の腕をグイグイ引っ張り、「オレ、マジピュア男子なんで!」と言いながら、保健室から先生を追い出してしまった。


ドアを少し開けては、私達に顔を出す先生。


「東良さん、5分で戻るから! 藤堂くん、何かしたら分かってるわよね?」


物凄い圧力で藤堂くんを追い詰めるその姿に、「大丈夫です、気をつけます!」と謎の返事をしてしまった。