藤堂くん、もっとぎゅっと抱きしめて



意識が朦朧(もうろう)とするなか、沢辺さんと藤堂くんの会話が聞こえる。


「保健室で休めば大丈夫だと思うから、オレ、保険の先生にベッド貸してもらえないか相談してくる」

「分かった。私は東良さんといるから」

「――うん、よろしく」


バタバタと教室を慌てて出ていく藤堂くん。――ということは、今この場には私と沢辺さんだけだ。


沢辺さんと話したくてゆっくり顔を上げると、「大丈夫だから、落ち着いて」と背中を優しく擦ってくれた。


「沢辺さん、ごめん、なさい。私、藤堂くんと、付き合ってる……」


「うん」


「沢辺さんも、藤堂くんの、こと、好きなのに、ごめんなさい……」


持てる力を全て使って一生懸命謝罪をする。


沢辺さんは罰が悪そうな顔をした。


「はー、あのバカ、話したの? 本当無神経なんだから。東良さんの症状を悪化させるようなことを言ってどうすんの」


「ほんと、ごめん……ね」


「直哉を好きなのは好きだけど、私はもうフられてるし、正直フられたときにだいぶ吹っ切れてる。東良さんは全然気にしなくていいんだよ。直哉が東良さんを好きなのも知ってたし」


「…………え?」


「自分の好きな人が誰に想いを寄せてるかなんて見てれば分かるよ。だから、今は直哉良かったねって思いが強いの。誤解しないで」