藤堂くん、もっとぎゅっと抱きしめて



放課後、沢辺さんと話し合いをするべく残っていると、

「東良、オレ保険委員の仕事で半年間の報告書を書かなきゃなんだけど……もしかして待っててくれたりする?」 

藤堂くんを待っているんだと誤解させてしまった。
 

「――あ、ごめん、違うの」


このままだと、私が沢辺さんと話し合いをすることを藤堂くんに知られてしまう。


「急ぎで帰らなきゃいけないとかないなら、オレが終わるまで残るの付き合ってよ」


何と言い訳をしたらいいのか、脳みそをフル回転させてみるけど誤魔化し方が分からない。


「……東良?」

「あ、ごめん。この後はちょっと」

「そっか。病院?」

「違うけど……」


どもっていると、私達の空気感はお構いなしと言わんばかりに、「東良さん、おまたせ」沢辺さんが近寄ってきた。


その瞬間、藤堂くんの顔色が変わったのが分かった。


「……え? 東良をどこ連れてく気だよ」

人気(ひとけ)がないところだけど、別に何もしないし。直哉が不安ならここで話してもいいけど?」


予想外の返事に、私も藤堂くんも目を丸くする。


「――今この場には私と東良さんと直哉だけだから単刀直入に聞くね。東良さんと直哉って付き合ってるの?」