この日から内緒で藤堂くんと付き合うことになった。
今まで学校へ行く理由は、勉強をするうえで極力行っておいた方がいいという、表向きの理由だけだった。
けれど、藤堂くんに会いたいから学校へ行くという考えに私の学校へ行く理由も変化した。
1分1秒でも藤堂くんと一緒にいたい。同じ空間を過ごしたい。それだけで私の見えていた景色が180度変わった気がした。
――学校に行くと藤堂くんがいて、時間が合うときには一緒に帰ったりもした。発作も次第に前よりひどくなくなり、保健室に行く回数も減っていた。
そんなある日、とうとうこの日がきてしまったという出来事が私の前に立ちはだかった。
「東良さん、放課後時間ある?」
教室に入るなり、私の姿を確認した沢辺さんが私の元へ駆け寄ってきた。
沢辺さんとちゃんと目を合わせるのは、「直哉、もういいよ。東良さんは私が面倒見とくし」と、表向きで私ではなく藤堂くんを労った放課後以来だ。
けれど、あの日以降沢辺さんは私を無視するようなことも、ましてや嫌がらせをしてくることもなかった。それは多分、「沢辺には誤解を招かないように言っとく」と言ってくれた藤堂くんの優しさのおかげだろう。
今までは大丈夫だった。
ここ最近の私と藤堂くんの雰囲気を感じ取って嫌気がさしたのかもしれない。
……今から嫌がらせ的なことをされるのかもしれない。
どうしよう、発作が出てしまったら。
だからといって沢辺さんの誘いを断ることはできなかった。
「うん、分かった」
「何もしないから安心して。ただ東良さんと話したいだけだから」
「…………うん」
何もしないにしても、私は口が立つわけじゃない。責められてしまえば、きっと泣くことしかできない。
藤堂くんの笑い声に視線を向けると、後ろの席でクラスの男子と談笑していた。
これ以上藤堂くんに迷惑をかけるわけにはいかない。



